2025年11月12日

研究開発

日本環境衛生センターとの共同研究によりツメダニ類に対する忌避試験方法を考案 ―ピレスロイド系製剤処理布に対する評価―

エステー株式会社は、一般財団法人日本環境衛生センターとの共同研究により、家庭用殺虫剤や衣類用防虫剤、ダニ対策製品などに広く使用されている代表的な有効成分の1つであるピレスロイドを活用した、ピレスロイド系製剤処理布に対するツメダニ類の忌避効果を評価するための新たな試験方法の考案に成功しました。

室内のカーペットや寝具などには、喘息等のアレルギーの原因となるコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニが潜んでいます。これらのダニが繁殖すると、それらを捕食するツメダニ類が増加します。ツメダニ類は通常人を刺すことはありませんが、捕食対象であるダニ類が減少すると、偶発的に人を刺してしまうことがあります。
ダニの数が増えた場合の対策として、一般的に乾燥や掃除、洗濯などの物理的な防除に加えて、殺虫剤等による化学的な防除が行われます。殺虫剤成分のうち、ピレスロイド系の成分は昆虫に対して一定の忌避効果が知られておりますが、ツメダニ類に対する忌避効果についてはこれまで明確に評価されていませんでした。

こうした忌避効果の評価について、繊維製品の屋内塵性ダニ類に対する評価方法としてはJIS L 1920 侵入阻止法(※) が規定されています。この評価方法は、忌避加工処理が施された布の中心に誘引餌を設置し、周囲からダニが何匹侵入してくるかを計測する手法です。しかし、一般的に用いられるヤケヒョウヒダニとは別種のツメダニ類であるミナミツメダニを試験に用いた場合、そのダニの特性上、忌避効果を正確に評価できないという課題がありました。

そこで本研究では、忌避加工処理を行った布をミナミツメダニが生息する培地に直接接触をさせるというアプローチを採用し、この課題を克服しました。

(※)経済産業省が管轄、規定する国家規格


図1. 侵入阻止法

図2. 新たな試験方法

本研究で考案した試験方法により、ツメダニ類に対する忌避効果を正確に評価できるようになることで、より効果の高い防ダニ製品の開発への貢献が期待されます。

当社は、この新たな試験方法を活用し、今後も当該領域の研究をさらに深めてまいります。暮らしと社会を豊かにするウェルネスカンパニーとして、これからも人々の快適な生活に貢献してまいります。

なお、本結果は新潟市民プラザにて開催された「ペストロジー学会 第41回大会(2025年11月6日~11月7日)」で発表いたしました。