2025年04月17日

研究開発

揮発性抗菌性物質に関する鳥取大学と香川大学との共同研究成果が、日本農芸化学会「2024年B.B.B.論文賞」を受賞

エステー株式会社(以下、「エステー」)は、国立大学法人鳥取大学との共同研究により、新たな抗菌剤の開発に利用できる可能性をもつ、コガネタケ(Phaeolepiota aurea)が生産する揮発性抗菌性物質を発見しました(2020年~2023年の共同研究の成果)。
この研究成果は、日本農芸化学会が発行する英文誌Bioscience, Biotechnology, and Biochemistryに掲載され、同誌に掲載された論文の中から特に優れた研究に授与される「2024年B.B.B.論文賞」を2025年3月4日に受賞しました。

本研究は、野生のキノコの周りに異なる種類のキノコが発生しない現象に着目し、揮発性の抗菌物質を放出しているのではないかという仮説のもと、様々なキノコを対象に探索を行いました。その結果、コガネタケ(学名:Phaeolepiota aurea)が生産する揮発性抗菌性物質を、phaeolep aldehyde A、phaeolep aldehyde Bとし、これらの化合物が環境中に存在するカビや植物病原菌に抗菌活性を示すことを見出しました。

エステーは主にカビや菌に対する抗菌性の評価を行い、鳥取大学は附属の研究施設「菌類きのこ遺伝資源研究センター」に所蔵するキノコの菌株を用いてキノコの培養と抗菌物質の分析を行いました。また、発見した化合物は三環性の複雑な化学構造をしており、香川大学の協力により、機器分析と計算化学の手法を用いてその化学構造を明らかにしました。

研究成果の詳細は下記をご確認ください。
コガネタケ(Phaeolepiota aurea)培養濾液中の揮発性抗真菌化合物としてのセスキテルペンアルデヒドの同定

本研究で発見された化合物は、将来的に新たな抗菌剤の開発に利用できる可能性があります。エステーは今後も、共同研究や基礎研究を通じて、家庭やさまざまな空間における空気の課題を解決する製品の開発に取り組んでまいります。