2015年06月16日

研究開発

森林総合研究所/日本かおり研究所 井上春成賞委員会主催/権威ある産学官連携表彰「第40回 井上春成賞」を受賞 "樹木精油を利用した空気浄化剤の開発"が評価

エステー株式会社の100%子会社である日本かおり研究所(代表取締役社長:金子俊彦)は、クリアフォレストブランドとして商品化した“樹木精油を利用した空気浄化剤の開発”の成果において、井上春成賞委員会が主催する「第40回 井上春成賞」を、大平辰朗氏(国立研究開発法人森林総合研究所バイオマス化学研究領域樹木抽出成分研究室長)とともに受賞しました。

この「井上春成賞」は、大学、研究機関等の独創的な研究成果をもとにして企業が開発、企業化した技術であって国内科学技術の進展に寄与し、経済の発展、福祉の向上に貢献したものの中から、特に優れたものについて研究者及び企業を表彰するものです。
1976年(昭和51年)に第1回の表彰が行われ、今年度で40回を数えます。産学官連携の成果を称える、栄誉ある表彰とされています。

贈呈式には大平辰朗氏と日本かおり研究所代表取締役社長の金子俊彦の両氏が臨み、井上春成賞委員会の中村道治委員長による表彰状及びクリスタル楯の賞牌、また、研究者には一般財団法人新技術振興渡辺記念会から副賞として研究奨励金が贈呈されます。
贈呈式会場では、受賞となった空気浄化剤を紹介するパネルやクリアフォレストシリーズなどの商品の展示も合わせて行われます。

井上春成氏(1893~1981)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称:JST)の前身のひとつである新技術開発事業団の初代理事長を務めていました。「井上春成賞」は、工業技術庁初代長官でもあった同氏の国内科学技術の発展に貢献した業績を鑑み、新技術開発事業団の創立15周年を記念して創設された賞です。

研究者大平辰朗氏と、開発企業日本かおり研究所が贈呈される「井上春成賞」では、両研究所がトドマツの枝葉の香り成分が有する二酸化窒素等の環境汚染物質の強力な浄化能力に着目し、その成分を空気中に揮散させることで、短時間で効果的に空気を浄化する世界に類のない画期的な技術を開発、さらにリラックス効果等も備えた多機能な空気浄化剤として商品化に成功したことが評価されました。
また、“マイクロ波減圧コントロール抽出装置”を世界に先駆け開発したことで、従来方式に比べエネルギーコストを1/20以下、製造コストを1/5以下に低減し、さらに抽出後の排水がないなど、これまでの問題を解消しています。

これに伴い、原料となるトドマツ枝葉の収集、成分の抽出、機能性の評価、製品開発、製品化などをそれぞれ異業種間で相補的に分担、連携するコンソーシアム「クリアフォレスト・パートナーズ」を立ち上げ、効率的な推進体制を構築しています。さらに未利用資源である枝葉を香り成分の原料として活用することで“新しい森林ビジネス”を展開し、林業、林産業をはじめとする地域経済の発展に貢献するとともに、急速な経済発展による都市部の大気汚染が深刻化する発展途上国等の環境改善に寄与するなど、一連の事業展開を図った大平辰朗氏及び日本かおり研究所の功績が「井上春成賞」受賞につながっています。

◆科学技術振興機構/革新的ベンチャー活用開発

“樹木精油を利用した空気浄化剤の開発”は、JST産学連携・技術移転支援事業である独創的シーズ展開事業 革新的ベンチャー活用開発(※)における開発課題〔樹木精油を利用した環境汚染物質の無害化剤の開発〕(平成19年度採択)の支援を受けて実施されました。
開発、企業化を日本かおり研究所が受託し、森林総合研究所が長年蓄積した樹木精油に関する基礎的な知見や技術を経済的、技術的側面から企業的規模で実証的な試験を実施し、問題点を検討した上、企業等で使用できる発展的実用技術を「クリアフォレスト事業」として実現しました。
(※革新的ベンチャー活用開発は、平成21年度から研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実用化挑戦タイプとして再編されています)