03PROJECT STORY 世界の空気をかえるプロジェクトストーリー エアケア開発事業 UXデザインにこだわった
インテリアアロマ
初の高価格帯にチャレンジ

プロフィール

K.Sさん R&D本部 エアケア開発部 エアケア開発第1チーム 2020年入社

手がけた商品

消臭力 Natulief 玄関・リビング用 リードデュフューザー

消臭力ブランドではチャレンジとなる高価格帯の高付加価値商品として2022年に上市。石油系溶剤フリーの本格ボタニカルアロマ処方(※植物に含まれる成分を再現した香料と植物精油だけで作られた香料99%以上使用)を採用し、環境に配慮した資材を使用したナチュラルで上質なインテリアアロマとして、ブランドの価値向上に貢献。

  • 魅力ある体験価値と環境配慮の両立を目指して

    エステーでは「消臭力PremiumAromaシリーズ」をはじめ、高付加価値製品がシェアを伸ばしていた。雑貨店やブランド旗艦店では、リードディフューザーの売上が年々増加。時代は「モノ」消費から「コト」消費へと移り変わり、今まで以上に魅力度の高い体験価値が得られる商品の開発が求められていた。

    一方で、社会の風潮としてプラスチック使用量削減を目的としたレジ袋の有料化・紙ストローの採用など、サステナビリティへの意識が高まるなか、プラスチック使用量の多い消臭芳香剤を扱うメーカーとして、環境保全への取り組みは重要な使命だと感じていた。

  • インテリアに溶け込む上質なデザインと香りを追求

    消臭力シリーズはこれまで「悪臭を消したい」という強いニーズに応えて、お部屋用・トイレ用・ゴミ箱用などの商品を展開してきた。情緒的価値を提供する「消臭力PremiumAromaシリーズ」もあるが、「消臭力 Natulie」は「インテリアの一部として、上質な香りで空間を満たしたい」という、さらに一歩踏み込んだ体験価値を提供できる高価格帯ディフューザーへ、初めてのチャレンジとなった。

    事業部の担当者、デザイナーとチームを編成。お客さまがドラッグストアではなく、雑貨店で求める芳香剤の価値とは何なのか。置き型の消臭力では満たせていないニーズがどこにあるのか。こだわりの強い本物志向のユーザーにも手に取ってもらえる商品をつくろうと、方針を固めていった。

  • 前例のないペーパースティックに試行錯誤

    「地球にも私にも優しい」をスローガンに掲げ、環境配慮資材を使用したリードディフューザーの上市を検討した。商品コンセプトは、上質な香りで暮らしを彩る体験の提供。香りが生活の一部となるには、UXデザインが重要な役割を担う。従来の消臭力にはない「インテリアアロマ」としてのポジションを確立すべく、開発に着手した。

    もっとも苦労したのは、リードスティックだ。スティックには樹脂ではなく古紙配合の紙を採用。ペーパースティックはエステー初の試みで、知見がないだけに失敗も多かった。

    スティックの紙をお客さまに切り取ってもらう仕様にしたが、切り取り線の位置がずれると折れたり、香料を含浸させるとスティックの文字のインクが滲んだりと、さまざまなトラブルが発生。使用期間や安全性を担保できる設計になるまで根気よく、香料と紙製の揮散体の相性を試した。

    香りの選定にもかなりの時間を費やした。本格ボタニカルアロマとして、暮らしに寄り添う嗜好性の高い香りを追求し、ほかの消臭芳香剤とは異なる植物精油を配合。担当者間でこだわりぬいたレモングラス&バーベナ・ホワイトリリー&ベルガモットの2香調を採用した。

  • 消臭力ブランドの価値向上に貢献

    「消臭力Natulief」はインテリア性の高さが評価され、「第62回 2023年ジャパンパッケージングコンペティション」にて一般雑貨部門賞を受賞しました。エステーにとっては20年ぶりの快挙です。社内では社長賞をいただきました。

    ボトル正面の商品名を英語表記にしたことで、カタカナのほうがわかりやすいと上司から反対意見も出ましたが、そこは自分の感性を信じて最後まで譲らなかった…。一定の評価を得られたことで、自信にもつながっています。

    今までにない高価格帯の消臭芳香剤として上市したことで、消臭力ブランドの価値向上にも貢献できたかなと思っています。これからも情緒的価値を深掘りして、今まで消臭芳香剤ユーザーではなかった新たなお客さまにも、手に取っていただける商品の開発に努めていきたいです。

※取材当時の内容です