03PROJECT STORY 世界の空気をかえるプロジェクトストーリー BtoB事業 ホテル従業員と宿泊者
両者のニーズを網羅する
おもてなしの香りを追求

プロフィール

T.Mさん ペットケア事業部開発チーム 2016年入社

手がけた商品

Air Forest Refresh Mist

エステー独自の消臭成分『クリアフォレスト』を活用したホテル専用の消臭芳香剤。ホテルにふさわしいおもてなし空間の演出をテーマに、くつろぎを邪魔することなく心地よい余韻で消えていくフレグランスを設計。2019年の発売後、大好評につき市販化へ。

  • エステー独自の消臭技術を武器に、BtoB詰替ビジネス事業に参入

    エステー独自の消臭成分『クリアフォレスト』を生かした、BtoB詰替ビジネスに新規参入するため、業務用商品の販売会社となるエステープロ、ビジネス開発事業部、R&D部門から構成されたタスクフォースチームでプロジェクトを立ち上げた。

    半年後に商品を発売するというゴールは決まっていたが、どのような商品を誰に対してどのように販売するのか、といった具体的な施策はあるわけもなく、ゼロから急ピッチで組み立てていく必要があった。

    まずはBtoBにおける伸長市場をリサーチし、そこにはどのような課題があるのか、メンバー全員でアイデアを出し合った。最終的に市場性とエステーの技術を最大限に生かせる「ホテル専用の詰替消臭剤」の開発に決定。ただし、ここからが前途多難な道のりとなった。

  • ホテルと宿泊者、双方の視点を意識

    通常の市販向け消臭剤なら過去の知見を紐解き活用できるが、ホテル専用は今回が初。どのような仕様や形状が必要なのか、基礎的なことから一つ一つ検討する必要があった。しかも、ターゲットとなるホテル従業員と宿泊者では、求められるニーズが異なるという複雑さがあった。

    従業員の視点では、利便性を最優先した。先立ってホテルスタッフの方に話を聞き、バックヤードでの保管方法など事細かに調査した。結果を総合して、利便性に優れるバッグインボックスタイプが最適だと考えられた。

    一方、宿泊者の視点では、ホテルのおもてなしを香りでどのようにして演出できるかが争点となった。不特定多数の宿泊者に対して、容器の形状やデザインはもちろん、エステーの得意とする香りと消臭技術をどのように伝えるかが大きな課題だった。

    強く長続きする香りは印象にも残りやすいが、どれだけ良い香りでも残り続けると不快に感じる方もいる。くつろげる空間を演出するには、香りの主張が続く通常のルームフレグランスとは、趣を異にする必要がある。熟考を重ねた結果、心地よい余韻で消えていくフレグランス設計を目指すことになった。

  • おもてなしのフレグランス設計と利便性の追求

    香料設計ではエステー独自の『クリアフォレスト』との相性も考慮しながら、香料会社に何種類も試作を依頼した。求めていた香りが生まれても、ボトルやバッグインボックスとの相性が悪かったり、経時試験で変臭・変色してしまうなど、トライアンドエラーを繰り返した。

    一方でホテルスタッフの方の観点から、補充のしやすさや詰め替えの利便性を求めた。中身の残量が分かりにくい、詰め替えにくい、手間がかかるから継続して使ってもらえないなど、容器の造りによってはマイナスに進む可能性もある。デザイン性と利便性を兼ねたボトルデザイン、バッグインボックスの使いやすさ、分かりやすさにこだわった。

    ボトル裏面の「使用上の注意」は、海外のお客さまの増加やホテルスタッフの方々の多様化に対応できるよう、日本語、英語、中国語、韓国語で表記した。また、バッグインボックスもスタッフの方が詰め替える際に戸惑うことがないようにデザインや設計を考え、説明もすぐ分かるようデザイン会社と何度もやりとりを重ねて完成させた。

    経時試験でバッグインボックスをさまざまな条件で保管していたある日、別の担当者から「バッグインボックスから大量に薬液が漏れています」と報告が。確認に向かうと確かにバッグインボックスの周辺が薬液まみれになっていた。期限も差し迫るなか「まさか…」と思ったが、よくよく見ると、横に置かれていた商品が倒れていただけだった。一安心したのも今となっては良い思い出だ。

  • ホテルと宿泊者の双方に評判上々。大好評につき市販化へ

    徹底して「ホテル専用の詰替消臭剤」にこだわりぬいた設計が評価され、ホテルの方はもちろん宿泊のお客さまからも評判を呼び、市販を希望する声も多かったことから、のちに市販用も発売することになったんです。担当から外れた今も定期的に販売状況を確認して、順調な売れ行きを見るたびにあらためて、このプロジェクトに参加できて本当によかったと感じています。

    宿泊先のホテルにAirForestが設置されていると真っ先に、しっかり補充されているかをチェック。空になっていたことは一度もなく、胸をなでおろしています。

※取材当時の内容です