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平熱が低めなのですが、体への影響はあるのでしょうか?

「低体温」という言葉をご存知でしょうか? 入江漢方内科クリニックの入江祥史先生によると、昔に比べて現代の人は平熱が低くなっており、低体温の人が増えているそうです。体温が低くなるとさまざまな体の不調を引き起こすため、注意が必要です。今回は、体温が低くなることによる体の影響や、冷えとの関係について詳しく紹介します。

「体温が低い」ってどういうこと?

一説によると、約100年前に生きていた人々は、平熱が36.8度くらいあったといわれています。しかし、現代はそれよりも0.5度低い、36.3度くらいしかありません。

では、なぜ現代人の平熱が下がってしまったのでしょうか。その理由として考えられるのが、夏場の過度な冷房と、冬場に冷えた食品を取るようになったことです。

夏に強い冷房で体が必要以上に冷えてしまったという経験をした人も少なくないでしょう。また、昔は夏にしか冷蔵庫を使いませんでしたが、現代では冬でも冷蔵庫に食品を保管し、冷えたジュースやビールなどの飲み物やアイスなどの冷たい食べ物も食べるようになりました。このように、文明の利器が発達したことによって、体が冷えやすくなり、体温が低くなってしまったと考えられます。

また、昔の女性の多くは筋肉が発達していましたが、現代人は筋肉量が少なくなっており、冷えを誘発する原因にもなっています。エネルギーを熱に変えるための筋肉量が少ないと、熱を生む場所が少なく、体温が上がりきらないのです。さらに、現代は冬でも薄着の人が多く、余計に体を冷えやすくしています。

体温が低い人の、ほぼ100%が冷え症!?

体温が低いと常に冷えを感じているイメージがありますが、冷え症とはどのような関係があるのでしょうか?

実は、「体温が低い=冷え性」である場合がほとんどです。冷え性には体全体の体温が低い低体温の場合と、体の中心の体温である深部体温は普通だけれども手足などの末端が冷える場合、体全体は暖かく十分な体温はあるが感覚的になぜか寒い感じがする、という3種類があります。

最も危険なのは、体全体が冷えている人で、大体体温は36度以下です。これに該当する人はかなり危険な状態にあるため、医師の診断をおすすめします。

現代に多いのは平熱が36.3度以上あるものの、手足が冷たい末端冷え性の人で、受診者の約7割を占めています。

体温が低いと、体へさまざまな影響が…!

脳から命令が発信され、さまざまな化学反応によって体が動いています。この化学反応には、「酵素」が大きく関係しており、体内の酵素の働きによって、摂取した食物を消化・吸収したり、代謝をしています。つまり、体を動かすために、酵素は必要不欠な存在なのです。

この酵素は、37度くらいで一番動きが活発になるといわれています。ただし、温度が37度よりも0.5度上がったり下がったりすると、消化酵素の働きが3~5割落ちてしまうというデータがあり、体温が低くなると酵素の働きが鈍くなります。つまり、体温が0.5度下がっただけで体全体の機能が落ち、本来の機能の7割程度でしか動かなくなるのです。

体温が下がると酵素の働きが弱まり、消化機能が低下したり、思考力が鈍くなるなどの症状が現れ、体全体の機能が下がります。また、免疫力も落ちるため、異物を体外に吐き出す力が低下し、アレルギーや病気になりやすくなるのです。

体温を上げる方法を紹介

理想的な体温は、酵素が活発に動く37度です。免疫力を高めて病気にかかりにくくするためには、できるだけ体温を37度に近づけたいところ。そのためには、夏場は冷房を控えて、冬場は暖かいものを摂取し、体を冷やさないようにすることが大切です。冷房がききすぎたオフィスなどでは、ご自身で冷え対策を行いましょう。

効率よく体を温める方法をいくつかご紹介します。

・「首」のつく部位を温める

関節など、「首」のつく部位は熱を放出しやすいので、「首」「手首」「足首」などを温めるのが効果的です。

・運動などで筋力をつける

体温を上げるには筋力をつけるのもよい方法です。特に、体の約4割の筋肉量を占める太ももを鍛えると効果的。おすすめはスクワットで、歯磨きをしながらゆっくり10回、毎食後に行い、1日合計30回やってみてください。

・カイロで体を中心から温める

体を中心から温めるには、カイロの利用もおすすめ。おなかのおへその部分や、腰に貼ると効果的です。

季節に関係なく、1年中体を温める習慣を!

「On Style おなか40℃」と、「On Style おしり41℃」は、冷えに悩む女性におすすめの温熱アイテム。

「On Style おなか40℃」は、約40℃の温かさが12時間持続し、おなかや腰をしっかり温め続ける温熱シートです。冬は温かく、夏でも快適に使える温度なので、年間を通して冷え対策として使用することができます。

「On Style おしり41℃」は、専用ざぶとんに付属の温熱シートを入れて敷くことで、おしりを温めることができます。おしりだけでなく、ひざの上において足を温めることも。お風呂の快適温度と同じ約41℃の温度で12時間持続します。温熱シートを取り替えることで、繰り返し使えます。また、夏のオフィスでの冷房対策にも最適です。

取材協力:入江漢方内科クリニック吉祥寺院長 入江祥史さん

入江漢方内科クリニック吉祥寺院長。漢方内科医。
1991年大阪大学医学部卒業、1995年同大学院修了(医学博士)。大阪大学医学部付属病院、ハーバード大学医学部、慶應義塾大学病院漢方クリニック医長、証クリニック吉祥寺院長などを経て、2017年より現職。東邦大学医学部客員講師も兼任している。

一般の方向けの『はじめての漢方医学』(創元社)をはじめ、漢方について学びたい医師・薬剤師・医薬系学生から漢方専門家まで、さまざまな人に向けた書籍も多数執筆している。

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