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どうなる? 2016年のPM2.5!日本気象協会に最新のPM2.5予測情報を聞きました


ここ数年、毎年話題になるPM2.5。2016年は、多いのか少ないのか? どの季節、どんな天気の時に大気汚染が発生するのか? 予報がないか調査したところ、日本気象協会さんの天気予報専門サイト「tenki.jp」で、PM2.5の予測(分布予測)が公開されていました。担当者に聞けば2016年PM2.5の最新の状況がわかるのでは? と考えた空気チャンネル編集部は、さっそくサンシャイン60の本社に伺いました。

PM2.5は予測できる。そのメカニズムとは?

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PM2.5分布予測のシステムを担当する森康彰さん(左)と宮由可子さん(右)

森:
当社独自の気象予測モデル「SYNFOS」と米国環境保護庁(EPA)が開発する化学輸送モデル「CMAQ」を組み合わせた独自システムを採用しています。国内外の研究機関が集計した「日本を含む東アジアの大気汚染物質排出量の推計データ」をこの独自システムに入力し、PM2.5の分布状況を予測しています。

なんて、これではわかりませんよね(笑)。PM2.5の発生源は、自動車、工場、火山などの自然現象など、実にさまざまです。

過去の統計データを基に、

地球上のどこで、何が原因で、どの程度のPM2.5やその元となる大気汚染物質が排出されているか?

を求めたデータベースが公開されています。

また、排出された大気汚染物質が、どのように化学変化し、風に流され、広がったり、雨で地上に落とされたりするのか、計算するモデルがあります。米国環境保護庁を中心に開発されており、信頼できるシステムです。

これらに、風向きや天気などの当社の気象予報データを合わせ、コンピューターで計算します。すると、発生したPM2.5が飛んでいく方角や、距離、量がわかり、地表のPM2.5濃度を予測できるというわけです。

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日本気象協会の予報ルーム。専門家が日々大気の様子を分析しています

現在、tenki.jpで公開しているのは48時間以内の予報ですが、コンピューター上では84時間後までの分布予測を算出しています。過去に日本で高い濃度が測定された際も、その傾向は概ね予測できていました。

PM2.5と天気、季節の関係。西日本/東日本では傾向が違う

森:
PM2.5の分布予測は、2013年から導入しています。そのころから季節や気象条件による傾向を分析しているので、大まかな傾向は把握しています。
季節で言えば、西日本で濃度が高くなりやすいのは、秋から春先にかけて。東日本は、季節によらず高くなることがあります。

アジア大陸で、大気汚染物質が多く発生しているのはご存じの通りです。移動性高気圧が大陸から移動してくることの多い春と秋は、西から東へ風が吹きます。距離的に近い西日本には、海を越えてPM2.5が到達します。東日本への影響は限定的です。

大陸の大気汚染は、たびたびニュースで取り上げられますが、PM2.5は大陸から飛来するだけでなく、自動車や工場、たばこなど私たちのすぐそばからも発生しています。

PM2.5の主な原因

・大陸から飛来する
・工場の煙突から排出される
・家庭や飲食店での調理時や、たばこから
・火山、海の塩分から
・自動車、船舶、航空機から
など

西日本では大陸からの飛来が目立つ傾向にありますが、東日本の場合、さまざまな要因が入れ替わりで濃度を上げています。もちろん、天気も含めます。

宮:
天気の条件では、まず気になるのが「雨」ですね。雨が降ると、空気中のPM2.5が雨滴にくっついて地面に落ちるので、飛散しにくくなります。データでも、雨の日はPM2.5濃度が上がらないことが多いですね。
ただし、たくさん降った場合です。しとしと雨くらいでは、濃度を下げる効果はあまりありません。

「接地逆転層」も大きく影響します。気温は、地表より上空のほうが低いのがふつうです。しかし、上空ほど気温の高い状態になることがあり、そのような状態を「接地逆転層」といいます。「明日は放射冷却で冷え込むでしょう」などといった予報の日は、地表付近の気温が低下しやすく、高い確率で接地逆転層が発生します。

接地逆転層の中は、暖かい空気でふたをされた状態に似ているため、上空の空気と入れ替わりにくいという特徴があります。大気汚染の少ない地域なら、飛んでくる汚染物質が少なくなるので、空気はきれいです。
一方、自動車や工場など、PM2.5発生源の多い地域では、接地逆転層ができると汚れた空気が拡散されません。空気がこもってPM2.5濃度が上がりやすくなります。

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天気を読むためには自らの目で空を観察することも重要です

夏は、大陸からの飛来や接地逆転層といった悪条件がありません。特に西日本では、比較的PM2.5の濃度が上がりにくい傾向にあります。
しかし、夏は化学反応が大きな問題となります。たとえば、「光化学スモッグ」は風が弱く日差しの強い日に発生します。このような時は工場や自動車などから出た排気ガスや蒸発ガスの一部が、光化学反応を起こして粒子に変わり、PM2.5になります。
夏場は、平均的にはそれほど数値は上がりませんが、日によって大きな差があります。関東で、何日か突出してPM2.5濃度が上がった夏があり、専門家の間で話題になったことがありました。

PM2.5と黄砂の関連は?

黄砂は大陸の砂漠から、海を越えてやってきます。黄砂が日本に来るということは、上空に西風が吹いているということ。それに乗って、PM2.5も飛来する可能性が大です。
黄砂自体は主にPM2.5より粒の大きい粒子です。人間活動から発生するPM2.5の物質によっては、黄砂とは発生する場所や飛んでくる高さが、異なることもあります。強い相関はあるものの、黄砂が来れば、必ずPM2.5の濃度が上がるわけではありません。

2016年PM2.5の最新情報。今年の濃度は高いのか?

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宮:
前述の通り、PM2.5が発生する要因はさまざまです。そのため、今年の濃度が高いのか低いのか、予測することは難しいです。ただ、数年~10年の長期的なスケールでみると、今後は大陸から飛来するPM2.5が減っていくことを期待しています。

ここ数年、例えば中国では大気汚染に対する規制や対策が進んでいます。大きな工場や発電所に脱硫装置が設置され、硫黄の排出量は頭打ちになってきていると言われています。
振り返れば、日本にも公害が社会問題になった時代がありました。日本が努力して大気汚染を減らして来たのと同じように、各国でも大気汚染を減らすための取り組みが行われていくでしょう。

国内から排出されるPM2.5も、まだまだ減っていくと考えています。
日本の大気汚染状態も引き続き改善しています。例えば、自動車から排出されるPM2.5は、直近5年で目に見えて減っています。

PM2.5分布予測(tenki.jp)の見方。速報値とどう違う?

tenki.jpは、パソコンやスマートフォン、タブレットのブラウザからアクセスできるWebサイトです。

URL:http://www.tenki.jp/
PM2.5分布予測:http://www.tenki.jp/particulate_matter/

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tenki.jpで公開されているPM2.5分布予測(2月2日15時の予測例)

PM2.5分布予測は、「極めて多い」から「少ない」の6段階で発表されています。画像上でチェックできるのが便利です。

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スマートフォンやタブレットでもチェックが可能。PM2.5分布予測ページの画像下にあるスライダーを動かせば、48時間以内の予測を確認できます。神経質になる必要はありませんが、濃度の高い日は、幼児の外出などは控えたほうが良いでしょう。

iOS/Android向けには、tenki.jpのアプリもあるので、天気予報と合わせて活用するのも手です。

また、tenki.jpには、速報値との違いが表示されています。速報値は自治体などが、直近のPM2.5濃度を、実際に計測した値です。速報値は環境省のそらまめ君のほうが、より細かくチェックできるのでおすすめです。

PM2.5環境基準を知ろう。濃度が高い日は外出や洗濯物にも要注意

森:
私たち個人がPM2.5に備えるには、国の環境基準と指針が参考になります。

●健康保護のために維持されることが望ましい水準
1年平均値 15μg/m3以下 かつ 1日平均値 35μg/m3以下 (平成21年9月設定)

●不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動を避けるべき水準
1日平均値 70μg/m3超

日本気象協会の予測では濃度を数値で表してはいないので、PM2.5の値はそらまめ君の速報値でチェックしてください。

とはいえ、1日の平均値が出てからでは、その日の行動は判断できません。

そのために国は、午前中の行動は午前5~7時の1時間平均値が85μg/m3、午後からは午前5~12時の1時間平均値が80μg/m3を超えたら注意、という基準を設けています。PM2.5濃度の高い日は、外出だけでなく洗濯物にも注意したいところです。

PM2.5分布予測は、翌日など直近の外出予定にご活用いただいています。PM2.5の濃度は季節や天気などによって日々変動します。神経質になりすぎる必要はありませんが、目では確認できない空気の状態を画像で確認できれば、ご安心できる材料にもなるでしょう。天気予報と同じように、お住まいの地域の状態をスマホで、手軽に日々チェックしてください。