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凶悪化しやすい秋花粉に注意すべきこれだけの理由


最近、何かと話題に上る「秋の花粉症」。花粉と大気汚染を研究する埼玉大学の王青躍先生によれば、とてもやっかいな性質があるそうです。詳しいお話を聞いてきました。

スギ花粉症患者は秋も花粉症になる!?

花粉症の原因は、スギだけではありません。世界三大花粉症と言われるのが、「スギ」「イネ科」(カモガヤ)「ブタクサ」の花粉症。他に、ヒノキやヨモギなども花粉症を引き起こします。
スギとヒノキは木本類植物と言われ、つまり樹木です。一方、イネ、ヨモギ、ブタクサ、オオブタクサは草本類植物と呼ばれ、雑草のようなものです。
特に、イネ、ヨモギ、ブタクサ、オオブタクサといった草の花粉は、8~10月の秋に飛散します。これらが、一般的に考えられている秋の花粉です。
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スギ花粉症患者のうち、およそ70%の人がヒノキ花粉でもアレルギー症状を起こすとわかっています。それはスギとヒノキの花粉アレルゲンとなるタンパク質の構造がよく似ていることで、「共通抗原性」があるからです。
同じ理由で、スギ花粉症患者のうち50%の人がイネやヨモギでも、同じく50%がブタクサ、オオブタクサでも発症する可能性があります。さらに、新たに秋の花粉症を発症する人を加えれば、かなりの確率で、秋の花粉にも苦しむ方がいると思います。

スギ花粉は春と秋、年に2回飛ぶ

さらに、スギ花粉症は春のものだと考えるのは大きな間違い。実は、スギ花粉は秋にも飛散します。2~3月に十分成長できなかった花粉が、雄花の中に残っていて、それが8~9月までに「熟成」して、飛ぶのです!

関東の年間花粉カレンダー

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※鼻アレルギー診療ガイドライン2013のデータを空気チャンネルが編集

関東以外の地域は、以下の【地域別】花粉カレンダーをクリックしてください。
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自動車の排ガス/大気汚染物質で花粉のアレルゲンは強力になる

秋の花粉症でやっかいなのが、大気汚染の問題です。自動車の排気ガスやPM2.5など大気汚染物質が花粉と結びつくと、花粉の粒子が壊れて、その中にあるアレルゲン物質が外に放出されやすくなります。また、アレルゲン物質が壊れた花粉の粒子と一緒に小さくなってしまうので、より人間の呼吸器系の奥に入り込みやすくなります。肺胞から血液に入り、花粉症を重傷化するのです!

秋は大気汚染が深刻になる季節

真っ青な秋の空はとても気持ちよいものですが、だんだん大気汚染が深刻化する季節でもあります。
気温が下がると、化石燃料をたくさん使うので、その分大気汚染物質がたくさん発生します。11~12月は、大陸から飛来するPM2.5も非常に多くなります。PM2.5の数値だけ見れば、春先や真夏にも上昇するのですが、問題なのはその中身。化石燃焼から排出された黒い煙の中には、重金属や芳香族炭化水素などが含まれており、発がん性など、人の身体に与える影響はとても大きく、花粉のアレルゲンも凶悪化させます。
おまけに、この季節は大気が安定し「逆転層」という特殊な気象条件になることがあります。通常は、暖かい空気の上に冷たい空気が流れているのですが、その上下が逆転した状態。冷たい空気の上に、暖かい空気がふとんのようにかぶさります。こうなると、空気が入れ替わらず、地上に汚れた空気がたまってしまうのです!

秋の花粉症も春と同様の対策を

近年、地球温暖化の影響で、花粉が飛散する時期は少しずつ後ろにずれています。11月、12月になって、くしゃみが出て「風邪かな?」と思っていたら実は花粉症だった、なんてよく聞く話です。
秋の花粉で代表的なイネ、ヨモギ、ブタクサ、オオブタクサといった草の花粉は、公園、河川敷、空き地などに茂っています。花粉症が疑われる場合は、河原の雑草がたくさん生えているような場所での散歩やジョギングはなるべく避けましょう。また、前述の通り、大気汚染は花粉症を悪化させるので、自動車排気ガスが大量にはき出される幹線道路や、空気がよどみやすい高層ビル街なども要注意です!

王青躍先生プロフィール

oh埼玉大学大学院 准教授。工学博士。環境科学研究者。都市大気汚染計測、対策技術、再生可能なエネルギー開発などを行う。特に、近年、都市部花粉とそのアレルゲン物質の挙動、PM2.5などの大気汚染による花粉症への増悪、花粉症や大気汚染対策について、NHK総合テレビの「おはよう日本」をはじめ、四十数件のテレビ番組等に出演。ほか、新聞・雑誌でも研究結果が数多く取り上げられている。